はじめに
この記事は、筆者が自身の研鑽を目的に様々な書籍やメディアに目を通し、まとめることで身に着けるために記載しているものです。
できるだけ簡潔に、基礎的なことを中心にまとめていますので、詳細や詳しく学びたい方は書籍の読破をお勧めします。
また、同時に一人でも多くの同じ価値観や考え方を持つ方々を募りたい、増やしたいと思い、オフラインでも共有することも考えています。
目次
・アメリカの歴史
・東海岸から西海岸へ
・海洋国家への道
・アジアへの侵攻とパックスアメリカーナ
・考察
アメリカの歴史
アメリカの地政学を学ぶには、アメリカの成立ちの歴史から振り返る必要があります。
現在のアメリカ合衆国は1776年7月4日に建国されたとされており、2026年で250年目を迎えます。
<アメリカ大陸の状況>
この当時、すでに南北アメリカ大陸は大航海時代からイギリス、フランス、オランダ、スペインなどのヨーロッパの国々が切り取り・植民地化合戦が始まっていた。原住民であるインディアンを奴隷化・迫害し、人手不足解消を目的にアフリカから奴隷を大量に連行して労働者とし、砂糖、綿花、コーヒーなどを生産していた。(プランテーション)
<宗教戦争とイギリスからピューリタンの移住>
イギリスではキリスト教が国教でしたが、キリスト教内での対立が発生していました。
教皇を頂点に組織的な展開を中心とするカトリックと教皇を認めず純粋な聖書を信奉するプロテスタントの争いです。そのプロテスタントの一派でより純粋な信仰生活を求める人たちをピューリタンと言いますが、イギリス政府からの弾圧があり、1600年代前半に信教の自由を求めてアメリカ大陸に移住しました。(日本は関ケ原の合戦の頃)

<大英帝国とアメリカ独立>
その後、ヨーロッパで戦争が起きると同時に、植民地であるアメリカ大陸でも同様に植民地の奪い合い戦争が長年続きます。18世紀後半にイギリスが勝利し、大西洋側に拠点を構築、大英帝国の基礎としました。
イギリスはフランスとの戦争のため、植民地であるアメリカ大陸には物品の生産と重税、貿易独占などを強いていた。すると、植民地側の住民(原住民ではなくイギリスから来た占領住民)がイギリス政府に抵抗するようになり、それがアメリカ独立戦争への繋がる。
1776年7月4日の大陸会議にてトーマス・ジェファーソンがアメリカ独立宣言を発表し、アメリカ独立記念日となる。
<西部開拓>
この独立戦争の最中にアメリカの民主主義の基本が形成されるがそれは置いておいて、アメリカはヨーロッパからの独立性を高め、領土拡大を求めて西海岸へ侵攻する。原住民であるインディアンを騙すような条約、法律を定めて、野蛮人として土地を奪い、迫害し、命をも奪っていった。カリフォルニアで金鉱脈が発見されると「ゴールドラッシュ」として欧州からの大量の移民が増えていった。現在の人種配分はこの時からあまり変わっていないという。その間、原住民インディアンは搾取され続けている。
ちょうどこの頃、アメリカは外交として東アジアへもその触手を伸ばし、日本に来たのがペリーであり、開国を要求したが、南北戦争がはじまり、一時的にアジアへの侵攻は留まることになる。

東海岸から西海岸へ
さて、歴史はここまでにして、地政学に話を戻します。
アメリカが西部開拓をしていた際、アメリカ大陸を南北に貫くロッキー山脈が人々の移動の障害になっていました。そこで、いかに物資や人を東海岸から西海岸へスムーズに移動させるかを考え、海路を模索します。
1.パナマ海峡経由
この航路は最短ルートだがパナマ海峡で船荷の積み替えなどが発生し、コスト高となる
2.南米大陸最南端ドレーク海峡廻り
この航路は乗り換えなしだが、南極が近く難路であるためリスクが高い
3.喜望峰・マラッカ海峡・上海ルート
この航路は地球を1周する長い航路だら、コストやリスクを踏まえて妥当
ということで、アメリカは3.を選択しました。日本にペリーが来航したのも、この航路を選択していたからです。

海洋国家への道
その後、アメリカでは東西を結ぶ大陸横断鉄道が完成し、地政学的にも影響を与えます。
これまで地球1周する海路がメインでしたが、西海岸から広い太平洋をいかに制するかが主要課題となります。この頃、アメリカでアルフレッド・マハンが「シーパワー理論」を提唱し、海洋国家への道を進みます。
パナマ海峡に運河を建設し、船での東西最短ルートを確保しつつ、アメリカにとっては太平洋という巨大な障害を乗り越えるために、ハワイ諸島を占領、米西戦争でフィリピン、グアムなどを占領し、アジアや中東への橋頭保を確保していきます。

アジアへの侵攻
<アジアへの植民地政策>
太平洋を越える足掛かりを確保したアメリカはアジアに目を向けます。すでにアジアもヨーロッパ各国の植民地侵攻の舞台となっており、イギリス、フランス、オランダ、スペインなどが各所を植民地化しており、アメリカは出遅れていました。
アジアの中で唯一と言っていいほど列強の植民地支配に抵抗したのが日本でした。日清戦争、日露戦争で結果を出していた日本をアメリカもヨーロッパ諸国も警戒していました。
アメリカは「オレンジ計画」と称して対日戦略を作っていました。ヨーロッパ諸国と連携して軍縮条約などで日本の軍事力を抑え込み、日中戦争の際には中国を支援(他のヨーロッパ諸国も)して日本に抵抗しました。
<太平洋戦争と覇権確立>
そして、あの太平洋戦争(大東亜戦争)を迎えます。日本が列強の植民地からアジアを開放するとの目的に、その領土を拡大していくにつれ、脅威に感じたアメリカは日本の弱点である石油の輸出を止め、経済制裁を科し、戦争に持ち込みました。結果はご存知の通り、日本に勝ち、各地に軍事施設を保持し、中国、ソ連など反社会主義、反共産主義の最前線基地を確保しました。
ソ連崩壊後、いよいよアメリカは世界の覇権国家となり、「パックス・アメリカーナ」(アメリカの平和)と言われる一極支配体制となりました。
考察
さて、アメリカから見た地政学はいかがでしょうか。
アメリカという大陸は、ヨーロッパ諸国による植民地奪い合いから始まり、幾度となく戦争を繰り返した後、イギリスから独立したアメリカ。
・ロッキー山脈により、東西の移動が課題
=>東西に移動するためだけに、航路は地球を一周せざるを得ませんでした。
・鉄道が整備され、近代的になると国外に目を向けるが広大な太平洋が行く手を遮る
=>「海洋国家」となり、ハワイやフィリピンなど太平洋上の島々を占領し、足掛かりを作る
・社会主義、共産主義国家との対立
=>太平洋戦争で日本に勝ち、反社会主義、反共産主義の最前線を日本に置く
このような流れで地政学的な動きをしてきたアメリカ。ソ連崩壊で一旦は一極支配を勝ち取ったものの、ロシア復活、中国の経済・軍事大国化、アメリカの移民問題などで影響力が低下し、世界のパワーバランスが崩れています。
また、もともとアメリカが進めていた経済のグローバル化という名のグローバリズム(経済植民地政策)が世界中に万延し、アメリカ自身がその社会秩序や国家体制の危機を迎えている状況となりました。
それはヨーロッパも同様であり、周回遅れで日本にいま起こっています。まさに世界が混沌としています。
アメリカは地政学的にどのような手を打ってくるでしょうか。
現在は国内に目を向けているように思います。関税もしかり。米軍はいまのまま世界展開を維持できるでしょうか。且つて対日政策のオレンジ計画で日本海軍の戦力を踏まえて、太平洋の島々を一旦放棄して、北太平洋上で一発勝負しようとした時のように、その軍事展開プランを変えるかもしれません。
それぞれの国がその地政学上の課題や特徴を踏まえて、国家の存亡戦略を展開しています。
そういった目で日本もどうすべきなのか、どこはどう動く可能性があるのか、そういう視点で世界を見ていきたいと思います。